あかんたれ

本日(3月18日)は「(春)彼岸」の、“入り”の日。

 

「春分/秋分」を中日とし、その前後3日間を合わせた・・・

合計7日間の期間のことを、「彼岸(ひがん)」といいます。

 

「彼岸」を読み下せば、「彼(か)の岸 = 向こう岸」と。

その“向こう岸”には、「迷いの無い世界」があるとされ・・・

言ってみれば、それが仏教でいうところの“悟り”ということになるのでしょう。

 

“向こう岸”があれば、“こちら岸”もある訳で。

「彼岸」に相対し、“迷い・苦しみ”にまみれた「此岸(しがん)」という世界が・・・

私たちがいる、この世界だということ。

 

つまり、「此岸/彼岸」の間には・・・

“煩悩(迷い)の川”が、流れているという考えになります。

 

仏教徒の“最終目標”は、「成仏(仏に成る)」すること。

それは、“悟り”を開くことであり、言い換えれば“煩悩(迷い)の川”を渡り・・・

「彼岸」に、行くことなのです。

094 彼岸花 その3

上記の話に、一切興味を持つことができなかった、あなた。

それは、至極当然のことかもしれません。

 

「仏に成る、成らない」なんて聞いたら・・・

「あ、私には関係ない話だ。。。」と。

 

あなたは、“結果”が遙か遙か彼方にあるものに、尽力できますか??

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(完全に個人的意見ですが)私は、“結果”がすべてだと思っています。

「過程が大事だ」なんて、言い訳に過ぎないとも思っています。

 

ただ、結果が“ダメ”と分かっていたとしても、“成功”に向けて尽力したなら・・・

その過程こそ、“結果”なのかもしれません。

むしろ、過程の無いものに“結果”なんて有り得ない訳ですから。

 

にも、似たようなこと書きましたが・・・

人生何事も、やらなきゃ“損”ですよ。

 

・・・と、いう訳で。

 

「彼岸」に近づくためには、“六波羅蜜(ろくはらみつ)”なる修行をせよ、と。

①「布施(ふせ)」は、分け与えること。

②「持戒(じかい)」は、戒律(ルール)を守ること。

③「忍辱(にんにく)」は、耐え忍ぶこと。

④「精進(しょうじん)」は、最善を尽くすこと。

⑤「禅定(ぜんじょう)」は、心を集中・安定させること。

⑥「智慧(ちえ)」は、真実の認識力を得ること。

 

一般的には、「彼岸」の7日間には“六波羅蜜”をひとつずつ実践し・・・

「中日には、ご先祖さまの供養を。。。」なんて、言われています。

 

また、あくまでも“六波羅蜜”は、常に実践し続けなければならないもので・・・

「彼岸」は、その“強化週間”と言ったようなもの。

 

そんな“強化週間”を、設定しなければならないほど・・・

私たちは、「あかんたれ」ということでしょうか。。。

綿帽子

私どうやら、流行りの“急性胃腸炎(ノロウィルス?)”にかかってしまったらしく・・・

昨晩、帰路道中の車内では、“人生初”の激しい腹痛に、意識朦朧。

 

何とか帰宅したものの、嘔吐や下痢が止まらず・・・

これまた“人生初”の、“救急外来”にお世話になりまして。

 

現在は、回復しつつあるものの・・・

(昨夜のうちに)本日の予定を、“オールキャンセル”m(__)m

 

丸一日、引きこもらせていただきましたが・・・

よくよく考えれば、一日中お寺にいられたのは、今年に入って初めてのことでした。

 

・・・という訳で、前回のつづきです。

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上記画像は、前回書かせていただきました“日蓮聖人座像”ですが・・・

この時季のお姿として、“違和感”を感じる方もいらっしゃるかと思います。

 

そう、この時季は「綿帽子(わたぼうし)」をお掛けしたお姿が、通常ですからね。

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「綿帽子」は、「小松原法難(こまつばらほうなん)」に由来します。

 

文永元(1264)年、小松原の地(現在の千葉県鴨川市)において・・・

日蓮大聖人が、(地頭の)“東条景信”らに襲撃された事件のことです。

08 日蓮聖人 小松原法難

鏡忍坊(弟子)工藤吉隆公(信者)は、これにより殉死。

日蓮大聖人も、腕を折られ額に刀傷を負った、という凄惨なもので・・・

これは、日蓮大聖人「四大法難」のひとつに、数えられます。

 

日蓮大聖人が、額の刀傷から流れる血を小川や井戸の水で洗いながら・・・

岩高山の洞穴に、身を休めていた時のこと。

 

そこに通りかかった、老婆(おいち)が、

「傷口に風を当てると痛みますので、これで寒さをおしのぎ下さい」

・・・と、自分のかぶっていた“真綿”を差上げた、と。

 

「綿帽子」を、お掛けする期間は・・・

それぞれの寺院で、多少の違いがあります。

 

御会式(10月13日)から、“花まつり(お釈迦様の誕生日/4月8日)”まで、とか・・・

“小松原法難会(11月11日)”から、“立教開宗会(日蓮宗ができた日/4月28日)まで、とか。

 

また、「綿帽子」自体も、お寺によって多少の違いを見せてくれます。

単純に、“真綿”だったり・・・

真綿を中に入れた、“布団”だったり。

 

上記画像のように、“赤い綿”を挟むのは・・・

大聖人の刀傷の“血”が、滲んでいることを表しています。

 

前回お話しした“日蓮聖人座像”をお預かりしてから、約2年半。

「前々から、やらなきゃなと思ってた。。。」

・・・というのは、“言い訳”で。

 

「綿帽子」、制作してみました。

 

・・・って言うか、実は今回も「前置き」でした。

次回は、「綿帽子 制作編」です。

 

お楽しみに。