天の花
本日(9月20日)より、秋の「お彼岸」が始まりました。
言わずと知れた、「お彼岸」とはいえ。
「お彼岸って、何??」と、問われれば・・・
言葉に詰まる方も、少なくないのではないでしょうか。
「お彼岸」とは、仏道修行の“特別強化週間”のこと。
“悟り”の境地に至る(=仏教徒の最終目標)ために・・・
「六波羅蜜(ろくはらみつ)」なる、6種類の修行法が説かれています。
①「布施(ふせ)」 分け与えること
②「持戒(じかい)」 戒律(ルール)を守ること
③「忍辱(にんにく)」 耐え忍ぶこと
④「精進(しょうじん)」 最善を尽くすこと
⑤「禅定(ぜんじょう)」 心を集中・安定させること
⑥「智慧(ちえ)」 真実の認識力を得ること
「お彼岸」の7日間には、一般的に・・・
この「六波羅蜜」を、ひとつずつ実践せよ、と。
さらに、中日である“秋分の日”は、日本国の法律(国民の祝日に関する法律)でも・・・
「祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ」と、定められています。
“特別強化週間”なんて、書き方をしたのは・・・
「六波羅蜜」は、あくまでも常に実践し続けなければならないものだから。
先日、空き墓地区画の草刈り中、ふと思い立ち・・・
あえて、“彼岸花”を刈らずに残してみました。
その思惑(?)通り、お参りの方からは・・・
「お彼岸にキチンと咲くんだから、不思議だねぇ。。。」なんて声が、チラホラ。
“彼岸花”といえば、目にするのは・・・
概ね、堤防とか(田んぼの)あぜ道や、お墓ってところでしょうか。
実は、前述の場所は、自生ではなく・・・
過去に植えられた可能性が高い、と言われています。
“彼岸花”は、その球根に“毒性(球根ひとつに、ネズミ1500匹の致死量)”を持つため・・・
堤防・あぜ道は、“モグラ除け”として。
(穴を掘られると、強度が落ちるため)
お墓は、“ご遺体”をお守りするため。
これはもちろん、“土葬”の時代の話ですが。
彼岸花の別名を、“曼珠沙華(まんじゅしゃげ)”なんて、呼びますが・・・
お経(妙法蓮華経 序品第一)にも、この花が登場します。
お釈迦さまが法華経をお説きになる前の、“瑞相(めでたいしるし)”として・・・
“曼珠沙華”が、(お釈迦さまや人々の上に)天から雨(ふ)った、と。
ただこれは、あくまで「天の花(実在しない、ということ)」。
経典上の“曼珠沙華”は、柔らかく白い花で・・・
見る者を悪業から離れさせる、と言われています。
皆さまも、この「天の花」を眺めながら、上記「六波羅蜜」の実践にて・・・
“清く正しい”一週間を、お過ごしになってはいかがでしょうか。