愚か者
本日は、12月1日。
この陽気に悪天候も重なり、少人数でのお参りとなりました。
「締めくくりは法話で…」ということは、以前にも書かせていただきましたが・・・
今回は年末らしく、「大掃除」をテーマにお話しさせていただきました。
例年、報道などでも目にすることが出来るのは・・・
この日(12月13日)、寺社で行われる「煤払い(すすはらい)」の様子。
言わずもがな、これは一般家庭で言うところの、大掃除。
竈(かまど)・囲炉裏(いろり)の時代には、本当に“煤”を払う必要があったのでしょう。
・・・お正月には、皆さまのお宅に、“神さま”をお迎えします。
そのため(準備・飾り付け)には、まず家中をきれいにしないといけない。
逆に言えば、「きれいでないお宅には、神さまがいらっしゃらない」という訳です。
つまり、(煤払い=大掃除は)新年を迎えるに当たっての、いわゆる「お清めの儀式」。
これは生活上、必要に迫られてするような掃除とは訳が違う、ということですね。
お釈迦さまの弟子に、「周利槃特(しゅりはんどく:チューラパンダカ)」という方が、いらっしゃった。
周利槃特は、物覚えが悪く、自分の名前さえ覚えられない始末。
余談ですが、周利槃特のお墓から生えたのが“茗荷(ミョウガ)”で・・・
そこから、「食べると物忘れする」という俗説が、生まれています。。。
自分の愚かさに涙を流し、途方に暮れる周利槃特に、お釈迦さまは・・・
「自分が愚かであることに気づいている人は、智慧ある人で・・・
(愚かであるのに)自分は賢いと思っている人こそ、本当の愚か者だ。」と、仰った。
そして、1本の箒(ほうき)を渡し、掃除しながら唱えることを命じます。
「塵(ちり)を払い、垢(あか)を除こう」と。
来る日も来る日も掃除を続け、周利槃特は気付きます。
塵や垢が、自分の執着の心だったことに。
誰よりも愚かだった周利槃特が「さとり」を得たことに、周囲が驚いていると・・・
お釈迦さまは、静かに仰いました。
「さとりを開くためには、多くのことを学ばなければいけないというのではない。
ほんの短い教えであっても、本当の意味を理解し、徹底して道を求めることが大切だ」と。
この“おじさん”のモデルが、かの周利槃特だというのは・・・
・・・余談(その2)です(眉唾ですが)。
来年は、題目講のメンバーがひとりでも増えると、良いなぁ。。。